失敗しないための書類作成、離婚協議書・公正証書・内容証明

 
 
 
 
  これは、当事務所が実際に受託して作成した
離婚協議書と同程度の内容の文例である。
   
1
ある夏の日の午後、一人の若い女性から当事務所に電話が入ってきました。その内容は、夫との離婚をすることで合意ができたので、その合意した内容を文書にして残しておきたいと思うが、作ってもらえますか?との依頼だった。
「お話しを聞きましょう」と答えたら、すぐ近くにいるとのことで15分後に来訪されました。20代前半の若い女性で、非常にしっかりしているなぁという印象でした。
 
2
お話の内容では、すでにご主人とは別居しているとのことで、まだ2歳にも満たない子供がいるが、その親権者は母親とすることを同意されているとのこと。
   
3
慰謝料も請求するとのこと。離婚の原因はご主人の浮気疑惑だとのこと。
確実な証拠はなかったものの、ご主人は否定もされないことから、間違いなかろうとのことでした。
   
4
その他に、養育費の事や将来の教育費などのこと、面接交流についての考え方など聞き取りして、原案を作るのに1日の猶予を貰うことで当日は帰ってもらいました。
 
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翌日『離婚に関する協議書』の原案を渡したら、その足で依頼人はそれを持ってご主人の元へ行かれました。その文書を二人で読みながら協議するとのことでした。
 
6
次の日、慰謝料等の金額やいろんな条件について、ご主人が抵抗されたとのことで新しい内容に修正してくれとのこと。
すぐさま修正作業に入りました。
7
二日後、修正した案を持ってご主人の元を訪問。さらに内容に変更があったとのことでしたが、軽微な点だったので、その部分を修正して2部を手渡しました。
とりあえずは、『離婚に関する協議書』の作成についての業務は終わりました。
   
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それから数日後離婚届を提出したとの報告がありました。
この後、上記『離婚に関する協議書』の金銭債務(養育費や慰謝料の支払い)に関するところを公正証書にするとのことで、当職が公証役場に出向き相談。
公証役場の原案ができたところで当事務所に連絡があり、日程を調整、依頼の夫婦は、後日公証役場で待ち合わせ、無事に公正証書作成も完了して全てのことが終わりました。
 
このケースは、元・夫婦が冷静な話し合いができたことによる結果でしょう。
極めて珍しい例かもしれません。
 
この時の『離婚に関する協議書』の文例を下記に掲載いたします。
 
離婚に関する協議書
 
(離婚の合意)
第1条
夫・豊臣○○を甲とし、妻・豊臣◇◇を乙として、両名は協議により離婚することを合意し、その届け出にあたり以下のとおり内容を定めた。
 
(親権者)
第2条
甲および乙は、その間に生まれた未成年の長男、秀頼(平成00年00月00日生、以下丙という)の親権者を乙と定める。乙は丙の監護者となり、成年に達するまでこれを引き取り養育する。
 
(養育費)
第3条
甲は乙に対し、丙の養育費として、平成00年00月00末日から丙が成年に達する月まで、年月末日限り、金5万円を ▽▽銀行 ◇◇支店 普通預金 口座番号1234567 、豊臣 秀頼 名義の口座に振り込み送金して支払う。尚、上記養育費は、物価の変動その他事情の変更に応じて、甲乙協議の上、増減出来るものとする。
 
(特別の費用負担)
第4条
上記養育費の他に、丙の進学等により特別な出費を要する場合は、および乙が、丙の病気その他の事由により特別の出費した時は、甲は乙の請求により、その費用の負担につき誠意をもって協議する。
 
(教育費)
第5条
丙が成人に達した時、大学校又は専門学校等の教育機関に在学しているときは、成人に達した以後であっても卒業するまでの機関、教育費として甲は毎月末日限り5万円を、▽▽銀行 ◇◇支店 普通預金 口座番号1234567 、豊臣 秀頼 名義の口座に振り込み送金して支払う。
 
(慰謝料)
第6条
甲は乙に対し、本件離婚による慰謝料として金500万円の支払い義務のあることを認める。
2 前項の支払いは分割とし、甲は毎月末日に限り、金2万円を ▽▽銀行 ◇◇支店 普通預金 口座番号5557777 、豊臣 ◇◇ 名義の口座に振り込み送金して支払う。
 
(年金分割)
第7条
離婚に際して、厚生年金の分割請求の権利が乙にあることを甲は認め、その案分割合を50パーセントとすることに双方合意する。
 
(財産分与がないことの確認)
第8条
甲および乙は、両者間に分与する財産はないことを確認する。
 
(面会交流)
第9条
乙は、甲が丙と面会交流を望むときは、丙の健全な成育ないし福祉を考慮して、その面会交流につき誠意をもって対応するものとする。
 
(住所移転等の通知義務)
第10条
甲は、住所その他連絡先を変更した場合は、遅滞なく乙に通知しなければならない。
 
(精算条項)
第11条
甲と乙は、本協議書に定めた以外には相手方に対し債権債務のないことを確認し、本協議書に定めた以外は何等の請求もしないことを確約する。
 
(その他の協議事項)
第12条
本協議書の定めのない事項が発生したときは、法規および一般慣習による他、当事者が誠意をもって協議することとする。
 
(強制執行認諾)
第13条
甲は、本協議書の第3条・第5条、および第6条の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨約した。